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Oriyanの解説

00 ​まえがき

この度は、「東京バンスキング・バス」にご乗車頂き、誠にありがとうございます。

私は運転手のOriyan、バスガイドはMayoとKayoが勤めます。最後までゆっくりと車内でおくつろぎ、ご鑑賞下さいませ。

 

さて、このアルバム「東京バンスキング」は、古き良きオールドジャズをオリジナルの日本語で、というコンセプトの下、作られました。オールドジャズと言っても色々わかれますが、ボーカル物で日本語の歌詞をつけますと、昭和戦後の歌謡曲に通じます。

 

私の心から尊敬する、服部良一先生、宮川泰先生、浜口庫之助先生など、多くのジャズを基盤とされた作曲家が大いに活躍された時代ですね。。そういう経緯を持って、当アルバムはバスガイドのMayoのご紹介通り「シカゴ経由、昭和行き」のバスなのでございます。

 

1曲目の「One Night Stand」からラストの「南京町で逢いましょう」まで、その時代のパロディ的なフレーズや、歌詞などが随所に盛り込まれております。

オールドファンでしたらそういう所もお楽しみ頂きたく、またこういう音楽を初めて聴く若い方々には、そのルーツを知ってもらいたいと思い非常に野暮な行為ではございますが、今回のアルバムのセルフ解説・メイキングなどのご案内役を買って出た次第であります。

 

また、このアルバムはコンセプトアルバムですので、曲の配置、また曲間を非常に重視して作っております。

特に初めてこのアルバムを聴かれる際には、最初から最後まで飛ばさずに流れで聴いて頂けると嬉しいです。

 

まずは東京バンスキング・バスに揺られて心も体もリラックスしてお聴き下さいませ!

01 ​One Night Stand

バスの環境音SEから、Mayoのバスガイド音声が、そしてあのグレン・ミラーの「In The Mood」のイントロのフレーズが流れて、今回のアルバム「東京バンスキング」の幕は開きます。

 

One Night Standとは、一夜だけの情事、つかの間の恋を意味するそうですが、また巡業劇団などの一晩興行もOne Night Standと言うそうです。その両方を掛けてみました。

メロディー的にはクロマチックな動きで、アンドリュースシスターズの「チャタヌガチューチュー」の影響を感じますね。。。というより音楽ルーツ的にはそうなんですが、むしろ私が10代に大好きだった細野晴臣さん的なのかも!(笑) 間奏の「出発進行〜発車オーライ」は、そういう影響も出てると思います。

 

さて、私がオールドジャズをオリジナルで、という発想はすでに数曲あったのですが、この曲は「東京バンスキング」を結成してから作りました。何かオープニング的なテーマが欲しいな、、と。なので、このユニットのイメージで書いた最初の曲かも知れないですね。

 

また歌詞は、一つの言葉遊びでガタゴトとか、ドキドキとか付けていった訳です。ムーンライトバスに乗って、ムーンライトキスを、って流れですね。まあそれが今回のアルバムの、トータルなバス発想に広がって行く訳です。バスって良いじゃないですか!電車も良いんだけど、レールがない部分をバスはどこまでも走ります。そう、貴方の家のすぐ近くまで行けるんですよ!(^^)

 

歌は3人で多重コーラス録音を行いました。Mayoのハイトーンがとても印象的ですが、下で支えるKayoの声もまた重要なポイントになっております。

02 ​Night and Day

 

こちらは、あのフランクシナトラで有名なスタンダードナンバーと同名異曲、となります。

 

歌詞は「枕草子」をモチーフにしております。春夏秋冬、それでも変わらぬ浄蓮のような女心、が表現できたら、と。。てな内容ですので、英語タイトルからの〜、ちょっと古文的な歌詞表現になっており、そういうチャレンジナンバーとして作ってみました。

 

具体的には、春にめくるめく恋をし、夏まで頑張ったけど別れてしまい、秋には独り寂しく、冬にもう一度だけ逢いたい、という四季の流れとなります。それらをkayoがハスキーボイスで切々と表現し、歌っております。

 

メロディとしては、ジャズ、というより私的には幼少に育った関西のテレビCMの「と〜れとれぴ〜ちぴちカニ料理♪」という影響が大きいのではないか、と思ったりしております(笑)

 

冒頭からのアカペラは、数10回、というテイクを重ねて収録しております。。MayoとKayo、本当にお疲れ様でした(^^)

03 ​For the Good Old Boys

 

子供の頃に意味も分からず、仲の良い近所の女の子と「ねえ今夜、一緒に旅に出ようよ」と指切りで約束して、2人で夜中にフラフラと冒険の旅に出ますが、隣の駅にも着かないうちに寝込んでしまう2人。。。さて朝、気がつけば、それぞれの自宅のお家のベッドで寝かされてました(*^_^*)

 

あれっきり会ってないし、随分オトナになっちゃったけど、でもあの時の夢はまだ持ってるよ、という「すべての古き良き少年少女」にお贈りする歌です。

 

歌詞は古くからのコンビであるボーカリスト、Salaとの共作になります。

曲としてはスタンダードの「君住む街で」の影響が大きいですね。

 

お知り合いのお子様、KeitaくんとTokoちゃんのボイス、そしてMayoとOriyanのデュエットとなります。

私の声がマッチっぽい、とはMayoのご意見でした(笑)

 

サビは大合唱コーラス、いくつになってもみんな夢を忘れないで、と。

最後は拍手喝采にて次の曲になだれ込みます。

04 ​美人裁判

 

今回のアルバムは、冒頭で述べましたオールドジャズが基本ではありますが、もっと言いますと、2000年代初期にヒットしました洋画、「Chicago」の影響は非常に大きいです。というか、あんなモチーフでユニットを作りたい、と思ったのが東京バンスキング、と言っても過言ではない、と思います。

 

その上でこの美人裁判は、「Chicago」をご覧になった方なら良くお判りだと思うのですが、そのまんまのモチーフ、題材だと思います(^^)

ただ、こういう裁判、という内容にて日本語での歌詞を載せたナンバーは、今まで恐らくないかと思いますので、そういう意味では画期的なのでは、とちょっとだけ自負させて頂きたく。。w

 

また今回の歌詞だけでは非常にアッサリと判決が出た感がありますが、その紆余曲折、流れを語るには歌詞が30番以上必要となりますので、今回はダイジェスト版、と捉えて頂けると幸いです。。とはいえ、そのノーカット版を出す予定はありませんが(爆)

 

ボーカルはKayoが見事に演じきっております。またサビでのMayoとのハモリも聴きどころ。。。間奏での「Not Guilty」の裁判官はお判りだと思いますが、Oriyanです(笑)その前に入る裁判の木槌、「カベル」というそうですが、日本の裁判では一切使用しないそうですね。。。 (^_^;)

05 最期のバカンス

 

これはまさに昭和歌謡です。3年前に他界しました私の父が一番好きな曲は、「星の流れに」でした。本当に名曲だと思います。その影響は大きいと思いますし、亡き父にも捧げたいと思います。

 

そして、間奏で曲のメロディーとともにハミングコーラスしているのは「港が見える丘」この曲の進行で丁度ハマったので、みんなで歌ってみました。メインボーカルはMayoが切々と歌います。

 

日曜の午後ってなんとなく気怠くて、どこにも出かけたくないなあ、、、家で一人で呑んでよか、、、これが最高のバカンスなんだよねえ、、って感じでしょうか。

 

でも日曜の午後3時で、何故、やがて群青色に空が染まるのでしょうか?

、、、さてこの人、最期のバカンスはどうなったんでしょう。。。

06 Never Land T.O.K.I.O

 

イントロを聴いて、ジャズファンならああ、と思うことでしょう。そうですあの名曲「Sing, Sing, Sing」です! そこからいきなり、ホーンのフレーズはレッドツェッペリンの「移民の歌」の有名なシャウトのフレーズ(笑)

 

なんだこりゃ、って感じですが、昔の東京、ひいては日本の昭和賛歌です。

 

大サビのコーラスで、2020、と1964、と英語で入ります。。。と書くとお判りかと思いますが、前の東京オリンピックから、今度の東京オリンピックの年号なんですね。。。随分と時代とともに風景は変わりましたが、良いモノは変わらないよ、という歌です(^_^)

 

そういう意味合いで、この曲はこのアルバム「東京バンスキング」のテーマソング、と言っても良いかと思います。

 

そしてこちらは1曲目と同じく、3人全員で楽しく歌ってます。

07 Dのラグタイム

 

唯一のOriyanのソロ・ボーカル曲です。私の大好きなビートルズナンバーに「ハニーパイ」という曲があります。イントロはエンターティナー、あの映画「スティング」に使われた有名なフレーズから、ジャズ形式でヴァースが入りますが、その「ハニーパイ」をモチーフにしました。ご丁寧にパイを焼く音まで入れております。。。(笑) そして、正統的なラグタイムソングとなっております。

 

歌われるのは「D」という彼女と別れた男の歌、と思いつつ聞いていけば、、、もうDは何なのかお判りかと思います(^_^;)

 

最後に出てくる主人公のママは、マトモではないこの息子が心配でこっそりDを廃棄したんですね。。ま、そういう変態的なというか今時ありがちなオタクな男の歌です。

 

コーラスのMayoとkayoが、またとっても良い味を出してくれてます(^^)

 

また間奏のホーンのフレーズは、ちょっとスティービーワンダーの「Sir Duke」からインスパイアされてます。私としても会心のアレンジ、となりました!

08 ワルツの恋

 

一転して素晴らしくトラッドな曲が始まります。

 

こちらはMayoの声楽的な声を生かすために曲を作りました。で、こちらはMayo自身が詞を書いています。男女の想いを、スケートの跡のように踊った軌跡と、そして2人が巡り会った奇跡をかけています。

 

曲としては、こういうウインナ・ワルツもかなり今では珍しいと思います。それをMayoがお得意のハイトーンで浪々と歌い上げます。素晴らしい声量が実感出来ると思います。

 

ディズニーソングのような、、またKayoが言うには「みんなのうた」で絶対行ける!と(^^)

 

この曲のオーケストレーションは、かなり時間をかけて作りました。

09 ​三年目の魔法

 

またまた場面転換で、Kayoの「It’s Masic」のディレイをきかせたセリフ。。。というとマリーンのヒット曲を思い浮かべニヤリとする方もおられるか、という個人的狙いです(笑) そして、都会的ジャズナンバーになります。

 

3年目、というと浮気、って昭和世代ならお答えかと思いますが、まあそれも、正直言うと狙いました。。。(^_^;)

 そして、ジャズ的な曲調とは裏腹に、結構演歌的な歌詞アプローチ、というのもあります。

 

こういう魔法が欲しい、昔知り合った時のような熱い気持ちを取り戻したい、と思うご夫婦も結構多いのではないでしょうか?(^^)

 

そんな意外と難解な曲をKayoがサラッと歌い上げてます。

 

また、追っかけのコーラスに入る歌詞は、「see me, feel me,touch me,heai me」

これも私の大好きなザ・フーのロックオペラ「トミー」の始まりの歌詞なんですよね(笑)

10 ​Two Heart

 

こちらは事情があって、会えない父と娘のデュエット・ソング。年頃も丁度良く、OriyanとKayoとのデュエットとなっております。

 

スタジオ仕事で親しいナレーターのケビンさんに、年頃の娘を父親は英語でどう呼ぶのか、尋ねてみました。「Honey」が良いかな、というお答えでした(^_^)

 

娘が小さい頃、父が娘をおんぶして「お前は歌が上手いからシンガーになるんだぞ。」と言いつつ、子守唄とか歌ってました。娘はそれを覚えていて、今宵も小さなステージで歌ってます。

 

こちらはジャズバラードの形式ですが、あまりに良いメロディーが出来たので

あえてアレンジは、シンプルにピアノとウッドベースをメインにしました。

 

年頃の娘さんを持つ父親が、少しホロッとしてくれれば、とても嬉しいです(^^)

11 南京町で逢いましょう

最後はアンコール、とでも言うべきでしょうか。昭和歌謡のテッパン的な曲を作りました。多くの歌謡曲のタイトルや歌詞も入っております。

 

また南京町、と呼ばれるのは、私の生まれ故郷である神戸の中華街だけなんです。横浜、長崎は言わないんです。なのでこれは神戸の歌です。メリケン波止場、山手通りetc,,。

 

その歌詞を中華風のフレーズに乗せて、敢えてアレンジは808ドラム(リズムボックス系)などを使い、70年代ディスコ風になっております(笑)

 

歌うのはMayo。「サンフランシスコのチャイナタウン」の渡辺はま子さんのように歌って欲しい、とのリクエストに見事応えてくれました!(^_^)

 

手前味噌ながら、この曲は超傑作だと思いますw

12 ​あとがき

 

いかがでしたでしょうか?

古き良きオールドジャズをオリジナルの日本語で、皆様に伝わったでしょうか?少しでも面白く思って頂ければ幸いです。

 

また今回のボーカル以外のインストゥルメンタルは、全て私1人で作りました。昨年の秋頃からコツコツと約1年、仕事の合間に内職のようにやっておりました(笑)

 

他の優秀なミュージシャンの方もおられるのでちょっと悩んだのですが、今回は私だけのカラーで作りたくワガママに作ってみました。サウンド的に稚拙な部分もあるかも知れませんが、ま、それも今回のカラーと受け取って頂ければ幸いです。

 

またこのアルバムジャケットですが、昭和のイラストならこの人!という上月 伸仁さんに依頼致しました。今回のジャケットは1960年頃の西銀座地下鉄出口あたりで、ガタゴト行く旧型ボンネットバスが主役となっています。素晴らしいイラストだと思います。

 

 

最後になりますが、私は来年、2018年3月12日で還暦を迎えます。それまでにオリジナルのジャズアルバムを作りたい、という事が、ここ数年の目標でした。その目標が達成出来た喜びと、そしてこの「東京バンスキング」をこの60代にもっと大きくしたい、という思いで満ち溢れております。

 

東京バンスキングメンバーとして参加してもらったMayoとKayo、そして何より理解して頂いたボーカルのSala、あと有形無形に協力してもらい、支えてくれた方々に心から感謝し、このアルバムを捧げたいと思います。

 

「東京バンスキング」ファーストアルバム。バスに揺られる気分で、ゆっくり楽しんで下さい。

東京バンスキング 初代座長

 

折橋 久登

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